漫画史に名を残すデスノート!連載前に「読み切り」というものがあったのをご存知でしょうか?
ジャンプでは本格的に連載される前にお試しなのか?読み切り掲載されることがよくありました
今回は、その「連載前の読切版デスノート」について語りたいと思います!
掲載当時の衝撃
当時の僕は確か高校生くらいだったかと思います!もちろんリアルタイムで読んでいます!
最初に見た時の僕の感想は「え!ノートに名前を書くと死んでしまう?すごい発想だな!」と当時も衝撃的でした。発想自体はとてもシンプルかもしれませんが「よくそんな事思いつくな…作者はメチャクチャ頭良いんだろうな…」と思いました。
漫画という文化に否定的だったウチの母も、どこで聞いたか知りませんが「デスノートって知ってる?」みたいに話しかけてきたのには驚きました。
その後に連載化が決まって喜んだのもよく覚えています
この連載前の読み切りは、本編とは全く関係のない別世界のお話です
そして、連載版は「ライトとLの頭脳バトル!」をメインに置いていましたが、この読み切り版はサスペンスで、デスノートに翻弄される少年を描いた「世にも奇妙な物語」のような作品になっています。
今回のお話は、この作品を大人になった今改めて読み返した解説と感想です
主人公はいじめられっ子「鏡太郎」
主人公は鏡太郎くん。鏡太郎…夜神月…カガミ、ヤガミ…なんとなく名前の響きが似てますね
連載版の主人公ライトくんは「頭脳明晰スポーツ万能パーフェクト美男子」でしたけれども、太郎君は普通の学生です
物語は死神が デスノートを人間界に落とすところから始まります。ここら辺は本編と同じですね
日記がちょうどなくなったところ、道路に落ちてたノートをたまたま拾った太郎くん。それを日記代わりにしようとします
家に帰って自室にこもる太郎くん。気晴らしに日記でもつけるんですけれども、内容が「A太とB郎にいじめられた」なんですよね。どうやら 太郎君はいじめられっ子のようです。ここらへんの突然異能力を持ってしまったいじめられっ子…っていうのは少年漫画の王道ですね
連載版と違って使い方が書いてあるわけでもなく、本当に知らずに書いてしまいます
結果、文脈に名前が入っていたため早速A太君とB郎君は心臓麻痺で死ぬことに…
次の日学校で2人の心臓麻痺で亡くなったということを先生から聞かされます
「え?なんで?」と非常に戸惑う太郎君!そりゃあそうですよね、ただ日記書いただけで人が死ぬなんて思いませんもん
しかし新たないじめっ子が出てきてまだまだ太郎君はいじめられてしまいます…かわいそうに…
家に帰った太郎くん、もしかしてこのノートに何か原因があったのかな?と思ったのでしょうか?
英和辞書を引っ張り出して デスノートの意味を辞書で弾きます(ドラマでも辞書使ってましたね)
いやDEATHぐらい分かっとけよ…て気もしますが、まぁまだ中学生ですしね、そんなに勉強も得意な方ではなかったのでしょう
死のノート?と思いながら今日いじめてきた奴ら3人の名前を書きながら日記をつけます
そして翌日3人の死が担任から告げられます(この担任の先生、メッチャガクブルしてんのよね…)
そこでノートの力は確信する太郎君
リューク登場と刑事からの疑い
このノートやべぇ!と思い、急いで家に帰ろうとするところ
クラスメイトの三浦君が警察に事情聴取を受けているところに出くわいます。どうやら三浦君もあの5人にいじめられていたので警察から話を聞かれていたようです
こいつぁヤベェ!自分にも疑いがかかったらどうしよう!早くノートをどうにかしないと…!と自室に帰ってきたところで、リューク登場!そりゃあもう驚く太郎くん(驚く太郎くんが楳図かずお先生風なのは御愛嬌)
よく見るとリュークのデザインもちょっと違いますね、顔のメイクとか…なんかこっちの方が怖いかもしれませんね
そうこうしているうちに太郎くん宅にも警察が事情を聞きにやってきます。こういった 下りも サスペンスではお約束な展開のハラハラシーンですね!
刑事は二人組でベテランと若手のコンビです(例えるなら夜神局長と松田みたいな感じ)
太郎くんは、警察手帳そのものじゃなくてその刑事さんたちが 刑事だって証明できるページを見せるように伝えます。そこには名前が書いてあって、きちんと名前を確認しようとするあたり太郎君も頭いいですね(もちろん殺してやろう!という気持ちはないとは思いますが、念のための確認でしょうね)
そこは リュークにもすごいな!利口だな!と褒められているところです
刑事さんに、自分がいじめられていて…のように説明する中、突然お母さんがわって入ります!「これじゃあまるで この子を疑っているみたいじゃないですか!」親心ですね!やはり 普通の親だったら冷静でもいられません。僕も多分そうすると思います。
一応刑事さんも「死んだ5人は心臓麻痺で、家族がいる家の中でのことだったのですが、自殺の線もあると思ったので念のため友達の家を聞いて回っているだけ」と説明します
ですがベテラン刑事さんはさすがですね、長年の勘というか太郎くんが何か怪しかったと見抜きます。そして確実に事件だということを断言します。
帰ろうと思い車に乗り込んだところ、過去に似たような事件があったことを思い出しました!え、デスノート関連でなにか解決の糸口にあるようなことあんの?
デスノート事件は過去にもあった?
ベテラン刑事は過去に似たような事件があったことを思い出しました(なんだかこういう展開ってホラー映画とかで見たりする気がします…)
過去の資料を調べ、宝銀行というところで、似たような変死があったことを確認します
全ては謎のまま 迷宮入りした事件ですが、今回の事件と似ていることを ベテラン刑事は見抜きます
考え込むベテラン刑事さん…もしもの話ですが新人刑事さんに「殺したいと思っただけで人を殺せる能力があったらどうする?」と聞きます
ベテラン刑事さんの推理は…
ちょっと考えた新人刑事さんも自分なりの回答を伝えます「こいつはいない方が世の中のためだ!と思う人間は全員殺して優しい心を持った人間だけの平和な世界を作る!」という風に言います(これをやったのが連載版のライトくん)
ベテラン刑事さんの返事は「人類の大半を消すことになってしまうだろうな…」といったもの…まぁ人間なんてだいたいたたけば埃くらい出てきますからねぇ…
「デスイレイザー」と急展開
ここからは場面が変わり太郎くんパート…ノート返そうか、そのまま持っていようか色々ずっと考え込んでいます…
太郎くんは自分のしてしまった事への罪悪感に悩まされます…そりゃあそうですよね…人の命…パーフェクト主人公のライトくんでさえ眠れずに五日で4キロ瘦せてしまうほど
そしてリュークからの提案…なんと「DEATHイレイザー」というアイテム!要は「消しゴム」ですね!デスノートに名前を書かれた人間も、その遺体が焼かれてたりしていない限り生き返るそうです…これは 連載版には全くない設定でしたね
というかリューク、あるんだったら最初に言っとけよって感じですね…死神の目みたいに、ライトくんに「言うの遅いだろ」と、厳しく指摘されそうです…まぁ最初から知ってたら話が盛り上がらなそうですが…
翌日、例の5人が生き返ります。太郎くん、自分のいじめていた5人をきちんと生き返らせたんですね…やはりジャンプ漫画の主人公です
ここで物語が加速します!
授業中の方がいいということで 刑事さん2人が生き返った5人に事情を聞きに行きます。(生き返ってその翌日普通に授業受けてんのかよ!みたいに思っちゃいましたけれども…w)
乗り込んでくる刑事さん、授業中にもかかわらず教室で、生き返った5人に話を聞きます。そこでみんなが「太郎君をいじめていた!」と証言すれば自分が疑われてしまいます…!(まぁ自分から「この人いじめてました」なんて白状すればの話ですが…普通は自分が誰かをいじめていたなんて隠したいものなんじゃないかな…なんて思ったり)
ですが太郎くん…「やべぇ…どうしよう…」みたいな展開になった途端…突然 5人の生徒がまた苦しみだし倒れていきます。そして今回は刑事さん二人もその場で倒れます…
急展開ですね!一体何が起こったのか?
太郎君はもちろん 何もしていません
二冊目のデスノート!?
一体なにが起こったのでしょうか?家に帰ってテレビを見る太郎くん
ワイドショーでは 心臓麻痺で死んでいく人のニュースを取り上げていました。なんと、世界中の凶悪犯罪者が次々と死んでいくそうです…「一体なぜ?デスノートはここにあるのに…!」と、戸惑う太郎くんですが
リュークが「もう1冊その後に使った人がいるんだろう 死因を書かないと全員 心臓麻痺になることを知らないんじゃない?」と言います…太郎君は「どういうこと?」と聞くと
リュークは白々しく悪い顔をしながら「実は また デスノートを落としちゃってさ…!」とか言うのです。確実にわざとですよね 面白いものが見たいから、わざと 混乱するようなことをしています…こういうとこ、原作よりタチ悪いですね、リューク…
…というか死神、自分の分のデスノートも手放しちゃっていいんですね。完全におちょくってますね。連載前のリュークは性格悪いぞw
そこで太郎くんは推理します…「一体誰が、もう一冊 のデスノートを持っているのか!?」…!
リュークは太郎君の家と学校 しか 往復をしていないのでその間にノートを拾える人に絞られます…そして、あの5人と刑事さんを殺す動機のある人物…
太郎君はひらめきます!さすがの推理力!太郎君頭いいんじゃないですかね?
そう、最初に事情聴取を受けていた三浦君でした!
自暴自棄になっている三浦くんを何とか説得し、デスイレイザーで死んだ人間を生き返らせます
デスノートを持って警察へ
そして太郎くんは、美浦くんと一緒に「デスノートを持って警察に行こう」と提案をします
うまく死神のことは 伏せて デスノートのことを 刑事さんたちに伝えます
やっぱり太郎君頭いいですね きちんと 釣り 綱が合うように刑事に説明しています
嘘をついている時の演出 なのか 太郎君の瞳は 黒塗りになっていますね、表情も無機質なものになっています
そして デスノートの効果を証明するため その場で 三浦君に自分の名前を書いて、死んだのを確認してから生き返らせてくれと伝えます
生き返った時の太郎君の あどけない表情がなんだか 印象的でしたね、さすが小畑先生!
警察に持って行った ノートは4人だけの秘密にして償却されることになりました
リュークからお前なかなか 利口じゃないかと 褒められて死後の世界がどうだった?みたいな軽口を叩かれますが 太郎君は浮かない顔…
7年後
それから舞台は7年後に移り、大人になった太郎君とリュークが出てきます
太郎くんは一冊 デスノートをずっと 所持し続けているみたいですね。それは今も太郎君に リュークが憑りついているということで明らかです
そしてどんな使い方をしているかどうかは全くわかりませんが、デスノートは都市伝説化のように オカルト雑誌に取り上げられる程度の存在になっています
そしてそのオカルト雑誌のアンケートに「もしデスノートが実在するとしたら欲しいですか?欲しくないですか?名前を書けますか?書けませんか?」というものがあり
「ちょっとこ のアンケート結果知りたいと思わない?」と太郎君がリュークに聞いたところでおしまいです。
いやー、読み切り版としても 完成度高いですね!
高校生の頃読んだ時とは全く違った感想を持ちました。
この7年間 太郎君は一体何をしていたのか?想像は膨らむばかりです
高校生の時はこのオチの意味がよくわからなかったですけれども、おそらくですが僕はこう思います。
人は建前では「人殺しはよくない!命は大切にしないと!」とキレイゴトを並べます。…が、匿名アンケートであればどうでしょう?もしかしたら…という風に考えさせる内容にしたかったのではないでしょうか?
宝銀行事件:僕なりの推理
本編から脱線してしまいますが、一応ここで宝銀行事件での情報を整理してみましょう
当時高校生の僕は「なんか過去に似た事件あったんだなー…ほえー」くらいであんまり深く考えていませんでした
推理というと大げさですが「もしこの事件でデスノートが使われていたら?」ということで考えてみます
最後に自殺した銀行員がデスノートを使って暴走してしまった…と考えれば説明はつくと思います。
たまたまノートを拾ってしまった銀行員…おそらくあんまり仕事のできるタイプではなかったのでしょう。今回の太郎くんのように気晴らしに日記のような感じで、常日頃から自分を目の敵にして攻めてくる支店長と次長の名前をノートに書いてしまったのではないでしょうか?
これが「支店長と次長が同じ日に心臓麻痺」ですね
ノートの力を確信する銀行員…最初は戸惑いノートを封印するも、やはり仕事ができないので同僚の銀行員にきつく当たられてしまう…支店長もいないので仕事も忙しかったと予想されるので余計に…
そんなある日、決定的な出来事が起こり、プッツンしてしまった銀行員は自分にきつく当たった同僚の名前を書いてしまいます。一応その時は死神からルールを教えられていたようで、なにかしら死因を書いたのでしょう。
これが「同じ支店の人間が変死」ですね
この件で吹っ切れてしまったのでしょうか。
ちょっとでも気に入らないことがあった時には、同僚でなくともなにか関わりのある人間の名前を書いていってしまったと思われます。
もうデスノートの魔力に取りつかれてしまっています。
これが「自殺した銀行員に関わっていたかなりの人間が変死」ですね
「かなりの人間が変死」となっているので、自分自身でももう歯止めがきかなくなっていたと思います。
でもある時、ふと我にかえる銀行員…自分のしたことの恐ろしさを感じ、もう戻れないという苦悩にかられ、自らの命を絶った…というところでしょうか?
ノートに自分の名前を書いて「安楽死」と書かなかったのは、自分にもノートの効果があると知らなかった?それとも、自分のしてしまったことへの罪悪感から?
まとめ
過去にデスノートを使ったと推測される銀行員さんについては
Cキラ編でもリュークが言ってましたが、デスノートを使うには強い信念と精神力が必要なんですね。この銀行員さんも心が耐えられなかったのでしょう…というかほとんどの人間には耐えられませんよね…
宝くじに当選した人が破滅する…のように身の丈にあわない力を持つと人は暴走して破滅する…珍しい話ではありません
太郎くんはどっちだったのか?最後の描写を見る限り才能が開花してうまく使っているように見えます。これからLのような探偵がやってきて頭脳バトルになっていくのか?
いろいろと創造が膨らみますね!

