『デスノート』は、夜神月とエルによる壮絶な頭脳戦が織りなす心理サスペンスの傑作です。
探偵エルは、その知性、個性、そしてミステリアスな魅力によって物語の核心を成し、読者を強く惹きつけます。
特に、ヨツバ編の緊張感あふれる展開は、物語に深い印象を与えます。
しかし、エルの突然の死は衝撃的で、その後の物語にはやや物足りなさを感じる瞬間もありました。
この記事では、エルの輝く魅力、ヨツバ編の圧倒的な魅力と相澤さんのドラマ、エルの死がもたらした喪失感、そして死後の展開について、私の視点から詳細に考察します。

もくじ
エルの魅力:知性、個性、そして人間性の融合
エルは『デスノート』の魂ともいえる存在です。
その魅力は、知性、個性、内面、ユーモア、謎、そして人間性の6つの要素によって形成されています。
以下、それぞれの観点からエルの輝きを詳細に紐解きます。
卓越した知性:キラを追い詰める頭脳
エルの最大の特徴は、超人的な知性です。
キラ(夜神月)の犯罪を論理と直感で解き明かす姿は、チェスの世界王者が完璧な一手を繰り出す瞬間に似ています。
物語の序盤(コミック1巻、アニメエピソード2)、エルがテレビ放送を活用した大胆な策略でキラの居場所を日本に絞り込む場面は、非常に印象的でした。
「キラ、私は必ずお前を捕まえる」という静かな決意に、エルの揺るぎない自信が感じられ、心を強く揺さぶられました。
エルの推理は、単なるデータ分析に留まりません。
たとえば、ライトがキラだとほぼ確信しながら証拠がない状況で、ライトの心理や行動パターンを緻密に読み解く洞察力は驚異的です。
ヨツバ編でライトと手錠で繋がれながら捜査を進める場面(7巻、エピソード18)は、エルの知性が際立つ瞬間です。
ライトを「99%キラ」と疑い、巧みに追い詰めるその手腕は、エルが真の「天才」であることを証明しています。
このような頭脳戦は、読者に深い感銘を与えます。
独特な個性:風変わりで親しみ深い存在
エルの外見や行動は、非常に独特です。
ボサボサの黒髪、クマのある目、ヨレヨレの白シャツとジーンズ、椅子に体育座りのような姿勢で座る姿、そしてケーキやキャンディを夢中で食べる様子。
これらの「完璧ではない」特徴が、エルを親しみやすい存在にしています。
捜査本部でケーキを頬張りながらライトを挑発する場面(コミック5巻、エピソード11)は、エルの「ゆるい雰囲気」と「鋭い頭脳」のギャップが際立ち、強い印象を残します。
特に、エルの時折見せる微笑みは、心を掴む瞬間です。
普段は無表情で冷静なエルが、ふと少年のような笑みを浮かべる様子は、ミステリアスな仮面が溶けるようで、深い魅力を感じます。
テニス対決(コミック3巻、エピソード8)でライトに微笑む場面や、ヨツバ編でライトの動揺を察して軽く笑う瞬間(7巻)は、エルの人間らしさが垣間見え、非常に心を動かされます。
エルのこの「風変わりで親しみ深い」個性は、他に類を見ないものです。
孤独と正義感:孤高のヒーローの内面
エルは最高の探偵です。
ワタリ以外の親しい関係はほぼなく、プライベートは謎に包まれています。
この「孤独」が、エルのミステリアスな魅力を一層際立たせています。
しかし、エルの内面には、キラを決して許さない強い正義感が宿っています。
ヨツバ編でライトを「99%キラ」と確信しながら、命がけで証拠を追い求める姿(7巻)は、単なる職務を超えたエルの信念が感じられ、深い感銘を与えます。
この「孤独と情熱の葛藤」が、エルに人間的な深みを加えています。
ライトとの偽バディ関係や、捜査本部のメンバーとのささやかなやりとりで、エルが心をわずかに開く瞬間は、孤高の探偵の内面に温かみを感じさせます。
たとえば、ヨツバ編でライトと手錠で繋がれながら捜査する場面(7巻)では、エルの複雑な心情が垣間見え、強い共感を呼びます。
この内面的な魅力は、エルを単なる天才ではなく、感情豊かなヒーローとして輝かせています。
鋭いユーモア:緊張感を和らげる知性
エルの会話には、鋭いユーモアが光ります。
ライトを挑発する際の皮肉や、捜査本部のメンバーを軽くからかうような発言は、物語の重い雰囲気を和らげる重要な要素です。
ライトに「君がキラだろ?」とストレートに切り込む場面(5巻、エピソード11)は、緊張感に満ちながらも、エルの「私はお前を逃がさない」という静かな自信と軽妙な雰囲気が共存し、非常に印象的です。
捜査本部でのやりとりでも、エルのユーモアは際立ちます。
たとえば、ライトの監視カメラを設置する際(4巻、エピソード10)、松田が「これはやりすぎでは…」と戸惑うのに対し、エルが「キラを捕まえるためだ」と平然と答える。
この「問題ない」というような態度は、エルの知性とユーモアが融合した瞬間であり、物語に軽やかなリズムを与えます。この鋭いユーモアは、エルの魅力をさらに深めています。
ミステリアスな背景:想像力を掻き立てる謎
エルの過去や本名、プライベートは、物語を通じてほとんど明かされません。
この「知られざる部分」が、エルの魅力を一層大きくしています。エルが「世界最高の探偵」と呼ばれる理由や、ワタリとの関係の背景は、ほのめかされるのみで詳細は不明です。
たとえば、ワタリが単なる助手以上の絆で結ばれているように感じられるものの、その詳細は謎のまま。このような謎が、エルのミステリアスな雰囲気を高め、読者の想像力を強く刺激します。
エルのあの猫背でケーキを食べる姿の裏に、どのような人生があったのか。
こうした疑問が頭をよぎるたびに、エルへの興味が尽きません。
ファンの考察や二次創作が盛んなのも、この「謎」が大きな要因です。エルのミステリアスな背景は、物語に深い奥行きを与えています。
人間性の輝き:微笑みと仲間への信頼
エルの微笑みは、非常に心に響きます。
普段は冷静で無表情なエルが、ふと見せる少年のような笑みは、まるで心の奥の温かさが溢れる瞬間です。
ライトの動揺を察して軽く微笑む表情は、エルが捜査を楽しんでいるように感じられ、強い魅力を放ちます。
テニス対決(3巻)でのニヤッとした笑みも、エルの人間らしさが垣間見える貴重な場面です。
捜査本部のメンバーとのやりとりでも、エルの人間性が輝きます。
松田の軽い失敗を「まあ、いい」と流したり、相澤さんの熱意に静かに応えたりする瞬間は、エルが仲間を意識していることが伝わり、深い感動を覚えます。
エルの「超人的な天才」と「人間らしい温かさ」の両立は、読者の心を強く掴む要素です。

エルと相澤さんのやりとり:信頼と葛藤が織りなす絆
エルの魅力が特に際立つのは、相澤さん(相澤周市)とのやりとりです。
この二人の関係は、信頼とユーモア、そしてヨツバ編での葛藤を通じて、物語に温かみと深みを加えます。
以下、5つの観点からその魅力を詳細に考察します。
「私は相沢さんみたいな人は好きですけどね」の深い響き
この言葉は、物語屈指の名言です(コミック5巻、アニメエピソード11)
相澤さんがキラ事件の重圧で苛立ち、エルの独特な態度(ケーキを食べながらの捜査や、突飛な発言)に不満を漏らす場面で、エルが静かに「私は相沢さんみたいな人は好きですけどね」と述べます
この瞬間、エルの普段隠された優しさや、相澤さんの真っ直ぐな正義感への敬意が強く伝わり、深い感動を覚えました。
この言葉は、エルの冷静な仮面がわずかに剥がれる貴重な場面です。
相澤さんの熱血な性格を、エルが単なる感情の爆発ではなく、価値あるものとして認めていることが感じられ、非常に心を動かされます。
この一言は、エルと相澤さんの信頼関係の礎となり、後のヨツバ編での葛藤をより印象深いものにしています。
対照的な性格が生む化学反応
相澤さんの真面目で熱い性格と、エルのマイペースで風変わりな態度は、対照的でありながら絶妙な調和を生み出します。
エルがケーキを食べながら「キラはこうだ」と発言すると、相澤さんが「この状況でそんな態度か!」と反応する場面は、どこか微笑ましく、物語に軽やかなリズムを与えます。
たとえば、ライトの監視カメラ設置を巡る議論(4巻、エピソード10)では、相澤さんが「倫理的に問題では?」と真剣に問うのに対し、エルが「キラを捕まえるためだ」と平然と答える。
この対比が、二人のやりとりに深みを加えています。
相澤さんが感情的になっても、エルは冷静に受け止め、捜査を進める。この信頼のバランスが、捜査本部の「仲間意識」を強くし、物語に温かみを加えています。
相澤さんの熱さがエルの冷静さを引き立て、エルのユーモアが相澤さんの真剣さを和らげる。この化学反応は、物語の大きな魅力です。
ヨツバ編での離脱:エルの試練と相澤さんの葛藤
ヨツバ編の序盤(コミック7巻、アニメエピソード16)、エルは捜査本部のメンバーに「キラを捕まえるためには死を覚悟する必要がある」と過激な発言をし、メンバーの覚悟を試します。
この試練に、相澤さんは強い葛藤を抱きます。家族への責任や、エルの過激な捜査方針に対する倫理的な疑問から、相澤さんは一時的に捜査本部を離れる決断をします。
この場面は、相澤さんの人間らしい悩みと、エルの冷徹な決意が衝突する瞬間であり、非常に心を動かされました。
相澤さんの離脱は、エルとの信頼関係に一時的な亀裂を生みますが、同時に、相澤さんの正義感と人間性の深さを浮き彫りにします。
エルの試すような発言は、仲間を鼓舞する意図があったのかもしれませんが、相澤さんのような真っ直ぐな人物には重すぎる試練だったと感じます。
この展開は、二人の絆の複雑さを示し、物語に深いドラマを加えました。

ヨツバ編の圧倒的な魅力:エルとライトの極限の頭脳戦
ヨツバ編(コミック7~9巻、アニメエピソード17~23)は、『デスノート』の中でも特に緊張感と魅力に満ちた展開です。
エルとライトの頭脳戦が新たな形で展開し、相澤さんの離脱と復帰がドラマを深め、読者を圧倒的な興奮に引き込みます。
以下、6つの観点からその魅力を詳細に考察します。
エルとライトの偽バディ:信頼と不信の緊張感
ヨツバ編の最大の魅力は、ライトがデスノートの記憶を一時的に失い、エルと「同じ側」でキラを追う展開です。
敵対していた二人が、捜査本部で手錠で繋がれ、表向きは協力しながらも内心で火花を散らす。この「信頼と不信」の微妙なバランスは、非常に心を揺さぶります。
たとえば、ヨツバのキラを追う会議での場面(7巻、エピソード18)では、ライトが鋭い提案をするたびに、エルが「やはりキラらしい思考だ」と静かに観察する。
この「表面は仲間、裏では敵」という空気は、緊張感を極限まで高めます。
エルの「私はお前を逃がさない」という静かな圧力と、ライトの無自覚な鋭さが交錯する瞬間は、深い興奮を呼びます。
この偽バディ関係は、ヨツバ編の核心的な魅力です。
ヨツバキラのミステリー:新たな敵の登場
ヨツバ編では、ヨツバグループの誰かが新たなキラとして暗躍します。
ライトの「正義のためのキラ」と異なり、企業利益のために殺人を行うこのキラの動機は、非常に現実的で暗い雰囲気を物語に加えます。
エルとライトが、ヨツバの幹部一人一人を絞り込む過程は、本格的なミステリー小説のような緊張感に満ちています。
エルが盗聴装置を仕掛けたり、ミサを囮にヨツバに潜入させたりする作戦(7巻、エピソード17)は、読者を強い興奮に引き込みます。
この「誰がキラなのか」という謎解き要素は、ヨツバ編に新たな魅力を加えています。
エルの積極的な姿勢:キラを追い詰める決意
ヨツバ編のエルは、非常に積極的な姿勢でキラを追い詰めます。
ライトと手錠で繋がれている場面(7巻、エピソード18)では、エルが「君がキラだろ?」とストレートに切り込みつつ、証拠がないためじわじわと追い詰める。
この静かな圧力は、ヨツバ編の緊張感を一層高め、強い印象を残します。
エルの「私はキラを絶対に逃がさない」という決意は、ヨツバ編の熱い空気をさらに高めます。
相澤さんの離脱と復帰:ドラマの深まり
ヨツバ編の序盤(7巻、エピソード16)、エルが「キラを捕まえるには死を覚悟せよ」とメンバーに試すような発言をしたことで、相澤さんは家族への責任やエルの過激な方針に葛藤し、捜査本部を一時的に離れます。
この離脱は、相澤さんの人間らしい悩みを浮き彫りにし、エルとの信頼関係に一時的な試練をもたらします。
しかし、ヨツバ編の終盤(9巻、エピソード21)、相澤さんは正義感を再確認し、捜査本部に復帰します。
この復帰は、相澤さんの成長とエルへの信頼の再構築を象徴し、物語に深い感動を加えました。相澤さんの葛藤と決意は、ヨツバ編のドラマを一層豊かにしています。
ミサの潜入作戦:緊張感と戦略の融合
ヨツバ編の重要な展開として、エルがミサ(弥海砂)をヨツバに潜入させる作戦(7巻、エピソード17)があります。
ミサの天然な性格を活かし、ヨツバのキラを炙り出すこの戦略は、エルの知性と大胆さが融合した瞬間です。
ミサが無自覚に任務を進める一方で、エルとライトが背後で火花を散らす緊張感は、ヨツバ編のスリルをさらに高めます。
この作戦は、エルの戦略家としての才能を強く感じさせ、深い興奮を呼びました。
チームワークとユーモアの調和
ヨツバ編は、緊迫したサスペンスの中に、エルの独特な行動や捜査本部のユーモアが巧みに織り交ぜられています。
たとえば、エルとライトが手錠で繋がれている日常的な場面(7巻)では、ライトが「これ、非常に不便だ」と不満を漏らすのに対し、エルが「キラを捕まえるためだ」とケーキを食べながら答える。
この「シリアスさと軽妙さ」の調和は、物語に温かみとリズムを与えます。
松田の軽い失敗や、復帰後の相澤さんの熱意も、ヨツバ編の魅力をさらに深めています。

エルの死:深い喪失感と物語への影響
ヨツバ編の頂点で訪れるエルの死(コミック7巻、アニメエピソード25)は、物語における最大の転換点であり、深い喪失感を与えました。
この出来事がもたらした影響を、5つの観点から詳細に考察します。
絶頂での退場:勝利目前での悲劇
エルがライトを追い詰めていたまさにその瞬間、ライトの策略により死神レムにデスノートで殺される。
このタイミングは、非常に衝撃的でした。ヨツバ編でヨツバのキラを特定する目前だったエルの死は、「あと一歩でライトを捕まえられた」という悔しさを強く感じさせます。
エルが階段で倒れる場面(7巻)、ライトの冷酷な勝利の笑顔は、胸を締め付けるものでした。
アニメの静かな音楽とエルの「やはり…お前がキラだったな」という最後の視線は、深い感動を呼び、涙を誘いました。
ライトとの決着の未完
エルとライトの頭脳戦は、『デスノート』の核心的な魅力でした。
手錠でライトを監視するヨツバ編の展開は、非常に緊張感に満ち、エルがライトを追い詰める瞬間を期待させました。
しかし、レムの介入によるエルの死は、この決着を未完のままにし、強い失望感を与えました。
エルがライトを直接倒す場面を見たかったという思いは、エルの死を一層切なく感じさせます。
人間性の喪失:物語の温かみの減少
ヨツバ編のエルは、相澤さんとの「私は相沢さんみたいな人は好きですけどね」や、ライトとの偽バディ関係で、非常に人間的な一面を見せていました。
エルの微笑み、ケーキを食べる姿、捜査本部の仲間とのささやかなやりとりは、物語に温かみを与える要素でした。
この人間性が失われたことは、捜査本部の「仲間意識」やエルのユーモアが減少し、物語の雰囲気を大きく変えました。
相澤さんの復帰で再び温かみが戻った矢先のエルの死は、余計に喪失感を深めました。
物語の雰囲気の変化
エルの死は、物語全体のトーンを一変させました。
ヨツバ編までのエルとライトの直接対決による緊張感や、相澤さんの葛藤と復帰による熱い雰囲気は、エルの死後、よりシリアスで冷たい空気に変わりました。
この変化は、ヨツバ編の活気ある空気を恋しく感じさせ、物語の魅力の一部が失われた印象を与えました。
エルの死の衝撃は、物語の進行に強い影響を与えました。
ファンへの深い影響
エルの死の場面は、非常に強烈な印象を残しました。
ライトの策略、レムのデスノート、エルの最後の視線。この一連の展開は、物語が暗転する感覚を与え、深い衝撃を覚えました。
ヨツバ編の興奮と相澤さんの復帰による希望から一気に絶望へと突き落とされる感覚は、非常に感情を揺さぶるものでした。
エルの死は、『デスノート』の最も記憶に残る瞬間の一つであり、ファンに深い影響を与えました。

エルの死後の物語:ヨツバ編の魅力との比較
エルの死後(コミック8~12巻、アニメエピソード26~37)、ニアとメロが登場し、物語は新たな展開を迎えます。
しかし、ヨツバ編の圧倒的な魅力と比較すると、物足りなさを感じる瞬間もありました。
この点を、4つの観点から考察します。
物足りなさの要因
- エルの存在感の不在
エルのミステリアスな魅力、ライトとの直接対決の緊張感、相澤さんとの温かいやりとりは、物語の大きな魅力でした。ニアは論理的ですがやや機械的な印象を与え、メロは過激ですがエルの深みやユーモアに欠けます。エルの「知性と人間性」の融合は、ニアやメロには再現されず、エルの不在は大きな喪失感を与えました。 - 緊張感の変化
ヨツバ編の「一瞬のミスが命取り」という緊張感や、偽バディのスリルは、非常に魅力的でした。ニア・メロ編では、ライトがキラとしてほぼ無敵の状態で、ニアやメロが遠くから追う構図が中心となり、エルとライトの「対等な戦い」の魅力が減少しました。この変化は、物語の興奮をやや抑える要因となりました。 - チームワークの喪失
相澤さんや松田の出番が減り、捜査本部の「仲間意識」が薄れたことは、物語の温かみを減少させました。ヨツバ編の熱い雰囲気や、相澤さんの離脱と復帰によるドラマは、ニア・メロ編では感じられず、寂しさを感じました。 - エルの死の衝撃の余波
エルの死の場面は非常に強烈で、その衝撃は物語の後半にも影響を与えました。ヨツバ編でのエルの積極的な姿勢や相澤さんの復帰に大きな期待を抱いていただけに、エルの不在は物語の魅力をやや下げる要因となりました。
ニア・メロ編の魅力
ニア・メロ編にも、独自の魅力が存在します。ライトがキラとして世界を支配する「悪の進化」は、非常に暗く、物語に深みを加えました。
ライトの傲慢さが極端に増す姿や、キラを崇拝する社会の描写は、『デスノート』の「正義と悪」のテーマをさらに掘り下げ、強い印象を残しました。
ニアとメロの個性も、興味深い要素でした。ニアはエルの論理的な側面を引き継ぎ、冷静にライトを追い詰める姿は、若さや未熟さを伴いつつも魅力的です。
メロはエルの情熱的で過激な一面を反映し、マフィアの利用や大胆な行動で物語に新たな緊張感を加えました。
エルほどの深みには欠けるものの、この二人の対比は、物語に独自の魅力を与えました。
最終的なニアとライトの対決(12巻、エピソード37)は、非常に緊張感に満ちた場面でした。
ライトがニアを出し抜こうとするも、ニアが一歩先を行く展開は、強い興奮を呼び、エルの死の悔しさを部分的に解消するカタルシスを与えました。
ライトの「負けた!」という叫び声と崩れ落ちる姿は、物語の終幕にふさわしい力強さを持っていました。
ライトの破滅:テーマの完結
ニア・メロ編のクライマックスであるライトの破滅は、『デスノート』の「正義の暴走」というテーマを完結させるのにふさわしいものでした。
ライトが自身の傲慢さによって自滅する瞬間は、強いカタルシスを与え、物語に深い余韻を残しました。
ニアがライトを倒す場面は、エルの遺志を引き継いだような感覚を与え、一定の満足感を覚えました。
私の感想:ヨツバ編の魅力は特別
ヨツバ編におけるエルとライトの直接対決、ミサの潜入作戦の緊張感、相澤さんの離脱と復帰によるドラマは、『デスノート』の最も輝く瞬間でした。
エルの知性と行動力、相澤さんとの絆は、物語に強い印象を与えました。エルの死後のニア・メロ編は、ライトの暗い進化や最終対決の緊張感に一定の魅力がありましたが、ヨツバ編の圧倒的な熱さやエルと相澤さんの絆には及ばなかったと感じます。
エルの微笑みや「私は相沢さんみたいな人は好きですけどね」の温かさ、相澤さんの葛藤と復帰によるドラマは、物語に特別な輝きを与えていました。

結論:エルとヨツバ編は『デスノート』の不朽の輝き
エルの卓越した知性、独特で親しみ深い個性、相澤さんとの心温まる絆、ヨツバ編の圧倒的な頭脳戦と相澤さんの葛藤。
これらの要素が、『デスノート』を不朽の名作として輝かせています。
エルの死は深い喪失感を与えましたが、その衝撃こそが物語の深みを際立たせました。
エルの死後のニア・メロ編は、ヨツバ編の熱さに比べるとやや物足りなかったものの、ライトの破滅は物語のテーマを力強く締めくくりました。
エルの微笑みと頭脳戦、相澤さんとの絆は、いつまでも心に刻まれています。
『デスノート』の世界は、今なお色褪せることなく輝き続けます。
